興聖寺

曹洞宗初開の禅道場と紅葉の「琴坂」

宇治川の東岸に佇む興聖寺は,道元禅師ゆかりの曹洞宗寺院であり,「曹洞宗初開道場」として知られる。境内へ続く参道「琴坂」は四季の彩りが美しく,特に秋の紅葉期には静謐な景観が広がる。禅寺らしい凛とした空気の中で,座禅や写経の体験も行われている。

興聖寺の歴史と背景

興聖寺の起源は1233年,道元禅師が伏見深草に開いた「興聖宝林禅寺」にさかのぼる。その後,江戸初期の1645年に淀城主・永井尚政が萬安英種禅師を中興開山として宇治に再興し,現在の伽藍が整えられた。日本における曹洞宗の最古の修行道場としての位置づけは,今も寺史に刻まれている。

主な見どころ

琴坂(ことざか)

山門へとまっすぐ続く参道。脇を流れる谷川のせせらぎが琴の音に似ていることから名付けられた。新緑から紅葉まで季節ごとに表情が変わり,宇治でも指折りのフォトスポットとして親しまれている。

山門(龍宮門)

禅宗独特の放射架をもつ龍宮造の山門。修行僧が“龍の如く大成する”願いが込められている。参道を登り切った先に現れる姿は印象的で,琴坂の風景を締めくくる象徴的存在。

法堂(伏見城遺構・鶯張り・血天井)

伽藍の中心となる建物で,本尊釈迦牟尼仏を安置。伏見城の遺構が用いられたと伝わり,床の「鶯張り」や,戦乱の痕跡とされる「血天井」など見どころが多い。

大書院庭園

宇治川から水を引いた池と小滝を眺められる書院。縁側から四季の庭を楽しめ,静かに心を整えるのに最適な空間である。

宝物殿(手習観音)

宇治市指定有形文化財。平安中期作と伝わる聖観音立像を安置し,「手習観音」とも呼ばれる。堂内に入り近くで拝観できるのが嬉しい。

鐘楼(興聖の晩鐘)

宇治十二景の一つに数えられる「興聖の晩鐘」で名高い。夕刻の澄んだ音色は境内の静けさをいっそう深める。

坐禅・写経体験

毎月2回の月例参禅会(予約不要・参加費無料,拝観料別)や,予約制の体験坐禅・写経を実施。禅の教えにふれながら姿勢と呼吸を整える時間を過ごせる。開催日・詳細は公式Webサイトを参照。

拝観情報・アクセス

項目内容
参拝受付時間10:00〜16:00(行事により入山規制あり)
拝観志納料500円
御朱印/御朱印帳御朱印300円,御朱印帳2,000円(次回以降,提示で拝観料無料)
所要時間目安約30〜60分(混雑・体験参加の有無で前後)
住所〒611-0021 京都府宇治市宇治山田27-1
アクセス京阪「宇治」駅から徒歩約20分/JR「宇治」駅から徒歩約30分
駐車場あり(要献香料)
駐車場曹洞宗仏徳山 興聖寺
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